2024年9月18日〜20日に開催された対話と談話に関する国際会議 The 25th Annual Meeting of the Special Interest Group on Discourse and Dialogue (SIGDIAL2024)にて当研究室から斉,樋口,田中および稲葉准教授の4名が発表を行い,金子,小野関,上原が聴講で参加しました.
今回は京都大学で開催されました.発表件数は65件,採択率は41.7%でした.また,参加者数は161名でした.種類別の採択率はLong paperが41.5% (投稿数106件,採択数44件),Short paperが38.6% (投稿数44件,採択数17件),Demo paperが66.7% (投稿数6件,採択数4件)となりました.
樋口は初日のポスターセッションにて,ユーザの理解度を考慮したニュース解説対話インタフェースについてのデモ発表を行いました.
本インタフェースでは,ユーザに対して質問候補を複数提示し,ユーザが選んだ質問に対してシステムが回答することにより解説対話を進めます.質問候補を生成する際に,ユーザのニュース記事に対する理解度を考慮することにより個々のユーザにパーソナライズした対話の実現を目指します.このインタフェースの有用性を確認するための被験者実験では,特に理解の浅いユーザグループに有効であることがわかりました.
自分にとっては初めての英語でのポスター発表でしたが,聴衆の方々がスムーズではない私の英語を優しく聞いてくださり,伝えたいことをなんとか伝えることができた気がします.
Tomoya Higuchi and Michimasa Inaba: Interactive Dialogue Interface for Personalized News Article Comprehension, Proceedings of the 25th Annual Meeting of the Special Interest Group on Discourse and Dialogue (SIGDIAL2024), 2024.
斉は初日のポスターセッションにて,対話スタイルとフローを用いた対話モデルのユーザ適応手法についての発表を行いました.
この研究では,データが限られている状況において,特に未成年のユーザに見られる特殊な対話戦略に対応する際に,対話システムが直面するインタラクションの課題に取り組むため,新しいデータ拡張フレームワークを提案します.提案手法では,大規模言語モデルを活用して話者のスタイルを抽出し,事前学習済み言語モデルを用いて対話行為の履歴をシミュレーションします.この方法により,豊かなパーソナライズされた対話データが生成され,特殊な対話戦略を持つ少数のグループとのインタラクションが改善されます.実験では,特徴的な対話戦略を持つ未成年の話者を対象にユーザ適応を行い,話者の特性に合った対話モデルを構築することが可能であることを示した.
90分間のポスター発表で,喉が少し疲れました.発表中はほとんど英語で話しましたが,うまく表現できないときには日本語と中国語も使いました.また,体がずっとポスターの方を向いていたため,後ろの人がポスターを見にくかったことにも気づきました.とにかく,経験を積むことができたので,次回はもっと上手くできるようになりたいと思います.
Zhiyang Qi and Michimasa Inaba: Data Augmentation Integrating Dialogue Flow and Style to Adapt Spoken Dialogue Systems to Low-Resource User Groups, Proceedings of the 25th Annual Meeting of the Special Interest Group on Discourse and Dialogue (SIGDIAL2024), 2024.
田中は2日目の口頭発表セッションにて対話システムを活用したユーザレビューの作成支援について発表を行いました.本研究の提案手法は,インタビュー対話を通してユーザから商品を使用した際の感想を引き出し,それらの情報をもとにレビューを生成することで,ユーザのレビュー作成を支援するものです.発表では実装の内容と,本研究にて広範に実施した実験の結果について報告・議論を行いました.
私にとっては初めての国際会議への参加・発表でした.まさか口頭発表になるとは予想しておらず,あまり準備が整わない中で本番を迎えましたが,全体として非常に楽しく,実りの多い経験になりました.発表後に多くの方に質問しに来ていただけたのが特に印象的で嬉しかったです.
Yoshiki Tanaka and Michimasa Inaba: User Review Writing via Interview with Dialogue Systems, Proceedings of the 25th Annual Meeting of the Special Interest Group on Discourse and Dialogue (SIGDIAL2024), 2024.
稲葉准教授は最終日の口頭発表セッションにてペルソナ対話システムの発話の評価手法について発表しました.
Michimasa Inaba: PersonaCLR: Evaluation Model for Persona Characteristics via Contrastive Learning of Linguistic Style Representation, Proceedings of the 25th Annual Meeting of the Special Interest Group on Discourse and Dialogue (SIGDIAL2024), 2024.
Yu Li, Shang Qu, Jili Shen, Shangchao Min, and Zhou Yu: Curriculum-Driven Edubot: A Framework for Developing Language Learning Chatbots through Synthesizing Conversational Data, Proceedings of the 25th Annual Meeting of the Special Interest Group on Discourse and Dialogue (SIGDIAL2024), 2024.
本研究はカリキュラムに従った教育用のチャットボットを構築する研究です.この研究では,教科書から抽出した適切なトピックに基づいてChatGPTを使用して対話を生成し,その対話を使用してオープンソースモデルをファインチューニングすることでチャットボットを構築します.このチャットボットは,ユーザの英語能力レベルに応じた対話を行うことに優れていることが示されました.(小野関)
Yahui Fu, Chenhui Chu, Tatsuya Kawahara: StyEmp: Stylizing Empathetic Response Generation via Multi-Grained Prefix Encoder and Personality Reinforcement Proceedings of the 25th Annual Meeting of the Special Interest Group on Discourse and Dialogue (SIGDIAL2024), 2024.
本研究は,ユーザーの発話に共感し,一貫した個性を持つ対話システムの構築を目指しています.具体的には,対話の文脈と聞き手の個性,そして共感的な応答の関係を学習するエンコーダと,事前学習済みのデコーダを用いて応答候補を生成します.また,応答候補の選択時に聞き手の個性を反映させることを目的として,強化学習を行います.この手法は,自動評価と人間評価の両方で,一貫した個性を持つ共感的な応答を効果的に生成できることが示されました.(上原)
発表の聴講を通して,対話システムや談話解析に関する最新の知見を得ることができました.特にポスターセッションでは,海外の研究者と交流する機会が多くあり,貴重な経験となりました.自分たちの英語力に限界を感じることもありましたが,この先の英語学習へのモチベーションとなりました. (上原)